農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見1 地域資源にあふれている

山の境界線

地域資源

山の恵みは無限大

季刊地域30号(2017年夏号)74ページ


「山はどうせ儲からない」と先祖代々の山林を見て見ぬふりをしているうちに、隣の家の山との境界線がわからなくなってしまった……という人が増えている。今残っている年寄りたちがいなくなって、境界線がわからない世代だけになると、今後、むらで間伐しようとか、山に道をつけようという話が出ても、誰に断っていいかもわからなくなってしまう。境界線が不明なままでは森林組合などに管理委託もできないし、間伐の補助金の申請もできないので、ますます放置林が増えていく。

 山の境界線には2種類ある。法務局の公図(課税台帳の付属地図)上の境界線は「筆界」。地図上に一筆ごとにまっすぐ線が引かれていて、土地所有者もほぼ明確になっており、固定資産税課税根拠に使われる。だが実際の山林上ではこのまっすぐな境界線は通用しない。尾根や沢、大きな岩があったりで地形も入り組んでいるし、公図が実測とかなり違う面もあるので、隣接する山主どうしで話し合って決めてきたのが「所有権界(施業界)」。山林管理のための実際の境界線だ。

 曖昧になってしまった境界を再確定するのに一番いいのは、国土交通省管轄の地籍調査で実測してもらい、隣接者立ち会いで境界杭を打つことだろう。しかしこの調査、実施主体である市町村自治体の腰が重く、1951年に始まったのに進捗率は全国で50%ほどとなかなか進まない(東北や九州は比較的進んでいる)。そこで、最近は山主グループや自治会などで、実際に山の中を歩きながら境界確認する事例が増えてきている。

 手がかりになるのは、「子供のころ、この谷のあたりまでがうちの山だと祖父に教わった」などの昔の記憶と、実際の地形(尾根や沢筋)や林相(樹種や樹齢)、手入れの痕跡(枝打ちや間伐の跡)の違いや、積み石や境界木(アセビなど)などの目印だ。隣接山主と一緒に境界杭を打って、位置情報(緯度・経度)をGPSに記録しておけば、自分の山の位置がひと目でわかるので、安心して子孫に引き継ぐことができる。

→「特集 山、見て見ぬふりをやめるとき」16号(2014年冬号)、「エリアをまとめて、みんなで山の境界確認」29号(2017年春号)

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