農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見1 地域資源にあふれている

茅葺き屋根

地域資源

荒れ地だって、活かせば宝

季刊地域30号(2017年夏号)71ページ


 カヤ利用の代表は、やはり茅葺き屋根だろう。農山村の風景にしっくりなじむが、日本独自のものではなく、アジア・アフリカほか世界各地にある。人類にとって「屋根とは草でつくるもの」であったということか。最近はヨーロッパで「エコでおしゃれな建築」として茅葺きブームが起きている。

 日本では戦前、農村の家はほとんど茅葺きだった。竹や木の骨組みに幾重にもカヤを載せただけの単純な構造だが、雨水は、油分を持つ細長いカヤを伝って下へ下へと流れていく。分厚いカヤ層は空気層でもあり、通気性・断熱性・吸音性・調湿性にすぐれる。夏は涼しく雨音がせず、囲炉裏の煙もこもらない機能的な屋根だった。

 表面から少しずつ腐食して薄くなっていくので、全面葺き替えしないまでも、10〜20年おきに新しいカヤを足す「差し屋根」というメンテナンスが必要。傷んで取り除いたカヤは、田畑に入れて農家は土を肥やした。

「昔は屋根で肥料をつくっていたんです」と、カヤ場と屋根と農の循環を強調するのは兵庫県の若き茅葺き職人・相良育弥さん。最近は、相良さんのような20〜30代の若者が茅葺き職人に続々参入する動きがあり、長らく後継者不足で悩んでいた茅葺き業界全体が盛り上がりを見せている。

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