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250年余り続いた江戸時代が終わり、明治時代へと移っていく政治の流れを追う。薩摩(鹿児島県)・長州(山口県)を中心とした倒幕運動、明治新政府の樹立と旧幕府軍の抵抗、天皇を中心とした近代国家の始まりなど。
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経済的に苦しくなった家や農村を、人びとの心のもち方と努力によって立て直した指導者・二宮尊徳、塩田開発や砂糖生産など特産品づくりで藩を豊かにした高松藩の家老・木村黙老など、地域に活気をよびもどした人びと。
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天草・島原の乱の後、田畑も心も傷んだ領地で、村人の気持ちに沿って役人を選び、田畑の復興を行ない、高すぎる年貢の改善を幕府に命をかけて訴えた代官・鈴木重成。悪代官もいたなかで、村人のために努力し感謝される代官も多い。
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交通不便のため凶作年に飢え死が出たのを見て、北上山地の岩にノミを振るって道路を拓いた牧庵鞭牛和尚。砂あらしで作物が育たなかった鳥取北条砂丘に水路を引いた庄屋・枡田新蔵。体を張って住みよい環境をつくってくれた恩人たち。
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洪水と寒さで米がよくできない秋田の山間地に、ジャガイモを普及することに一生をかけた村役人・岡田昭義。蚕を飼う部屋の温度を上手に管理するために温度計を発明した福島の農民・中村善右衛門。全国の農村にリーダーが登場した。
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重すぎる年貢に対し農民の先頭に立って訴え、自分は処罰を受ける。犠牲的精神で地域の人たちのために闘った英雄が義民だ。磔茂左衛門(群馬県)や佐倉惣五郎(千葉県)は有名だが、各地で義民の物語が語り継がれてきた。
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絣の織機やからくり時計など工夫・発明を重ねてついには日本初の蒸気船をつくった田中久重(福岡県)。豪華けんらんな建築と彫刻で日光東照宮をつくった宮大工・甲良宗廣(滋賀県)。名人たちのチャレンジ精神と技は今日でも驚くばかり。
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諸国を旅し各地の農業を見て、ふるさと青森の寒冷地農業を豊かにするための本をまとめた中村喜時。農業・酒造りに精を出しながら俳句・絵画に親しみ一茶とも交流した山梨の河野徳兵衛。豪農たちは幅広い情報活動と交友で、地域を指導した。
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京都の豪商で京・大阪間の輸送をよくするため高瀬川を開いた角倉了以。淡路島出身の廻船問屋で、函館港の整備など海運の発展に尽くし、日本とロシアの衝突を避けるのに努力した高田屋嘉兵衛(たかだやかへい)。商人たちは地域の発展に貢献して、自分の商売をした。
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伊勢松阪(三重県)の三井家が江戸に開いた越後屋呉服店は、安い品物の大量仕入れと現金売りという新しい商売法を取り入れ、庶民に歓迎され成功した。商人は、社会の変化に敏感に反応し、奉公人も含めた家を守る努力を重ねて生き抜いてきた。
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天地・自然の理に従って生きる農民こそ真の人間で、武士が支配する社会は間違いであるとした安藤昌益、人間とすべての物の共生を説いた三浦梅園(みうらばいえん)など、封建社会を超え、現代にも重要な考え方を突きつける思想が生まれた。
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仏教は幕藩体制を守るための役割を担わされたが、しかしいっぽうで、全国を歩いて民衆のために仏像を彫り続けた円空や、温かい心で人を動かした良寛のように、体制や権力とは無縁に、人びとの心に生き続ける僧たちが現われた。
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旅行ブームの江戸時代後半、秋里籬島(あきさとりとう)の『都名所図会』に始まり名所・旧跡のガイドブックが続々登場。江戸では斎藤月岑が親子三代にわたる事業で『江戸名所図会』を発行。古川古松軒や貝原益軒の旅の記録も出版された。
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歌舞伎が人気を呼ぶ中で花形役者が登場した。初代中村歌右衛門は京都・大阪・江戸で知らぬ者のいない名優となり、名門として今に続いている。相撲は、横綱谷風二世の活躍などで江戸の民衆に人気が高まっていった。
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欲に支配される人間の姿をいきいきと描き、好色もの・武家もの・町人ものなど新しいジャンルを打ち立てた井原西鶴。飢饉で苦しむ東北に旅して庶民の暮らしに温かい目を向けた菅江真澄。宮城の女流作家・只野真葛などの活躍。
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