春先にとれる食材や、冬の間につくった「へそ大根」、乾物のにしんなどの具材をたっぷり使った料理で、県北部では普段の食事や端午の節句のごちそうに出されます。ここでよく利用される淡竹《はちく》は、やわらかい食感で、春の煮物に欠かせません。へそ大根は輪切りの大根をゆでてから真ん中にワラひもや細い竹の棒を……
県内各地でつくられている凍み大根と里芋やにんじん、干し椎茸などの具材を一緒に炊いた煮しめです。凍み大根は、冬の寒さを利用してつくられる保存食で、真ん中に穴があいているものは、「へそ大根」や「ババべそ(おばあさんのへそ)」とも呼ばれます。輪切りにした大根はゆでてから真ん中に串やワラを通して軒下に1……
にしんを巻くときに、2枚重ねた昆布で巻いていくので層が厚くなり、たっぷりと昆布を食べることができます。昆布好きの富山県らしい昆布巻きといえるでしょう。煮ては冷ますを2~3日じっくり繰り返すので味はよくしみこみ、昆布はやわらかく煮上がり、一人でいくつも食べてしまいます。 江戸時代、加賀藩の直轄港だ……
「きっこうし」とは中越地区の方言で切ってぼっこす(壊す)という意味の「きっこす=乱切りにする、なた切り」から来ています。大根はよく味がしみるように、わざと不ぞろいに、なたの刃を斜めに半分ほど入れてから手首を返して切りました。「ねせ麹」は水分の少ない甘酒のもとのような感じで濃厚で、じっくり漬けるこ……
重箱にぎっしり詰められているのは、ぜんまいの一本煮、凍み大根や凍み豆腐、うど、身欠きにしんなど。秋田との県境にある西和賀では、盆や正月、祭りや冠婚葬祭などには乾物や塩蔵の山菜などを大鍋で煮て、必ず煮しめをつくります。 上にのっているのは、ぜんまいです。普段の煮物では食べやすいように切りますが、若……
田植えではいろいろな地域で似たような煮物が食べられていますが、飯山地方の煮物に欠かせないのは凍《し》み大根。凍み大根は寒さの厳しい地域で生活する人々の知恵で生み出された保存食です。凍み大根が水分をよく吸うことから、田んぼにたっぷり水が入るように、田の水に不自由しないようにという願いがこめられてい……
県北部の嶺北では、昆布巻きは正月の他、秋祭りにもよくつくります。たくさんつくった方がおいしいので、隣近所で祝う祭りのごちそうにぴったりでした。具はにしんだけの他、にしんと厚揚げやにんじん、ごぼう(勝山市や鯖江市など)、干し鮎(九頭竜川沿いの永平寺町)など、地域により異なります。昆布巻きを結ぶため……