結城市の伝統的な食材「すだれ麩」を使った和え物で、仏事には必ずつくられました。鎌倉時代に城下町として栄えた結城は寺院が多く、精進料理が発展するなかで、すだれ麩が生まれました。江戸時代後期にはすでに食べられており、冠婚葬祭で使う高級食材でした。最近は盆や正月など、家族が一堂に会したときに食べる機会……
房総半島の南部に位置する南房総市は東京湾と太平洋に三方を囲まれています。沖合を流れる暖流の影響で冬も暖かく、正月過ぎ頃から菜の花が咲き始めます。まだ肌寒さが残る中、黄色い花を咲かせているのを見ると、ひと足早い春を感じるものです。菜の花は、ごま和えやおひたしでよく食べました。ごま和えは菜の花のほろ……
里芋の一種、赤芽芋の茎「ずき(ずいき)」を使った酢の物で、県内各地で食べられている日常のおかずです。阿波弁で浸すことを「かす」といいますが、そこから転じてずきがしと呼ばれるようになったようです。生ではかたいずきも、さっとゆでることでやわらかく口当たりがよくなり、シャキシャキした食感になります。赤……
中山道が通り、江戸時代には交通の要所だったさいたま市は、関東大震災で比較的被害が少なかったことから、東京のベッドタウンとして発展してきました。昭和35~45年当時は農家でなくても自家用の野菜をつくっている家庭が多く、ほうれん草も育ててよく食べた野菜です。葉物は小松菜よりもほうれん草の利用が多かっ……
福井県は昔から真宗王国と言われるほど浄土真宗がさかんです。その宗祖、親鸞聖人《しんらんしょうにん》の遺徳に感謝する報恩講をはじめ、さまざまな行事のあとにみんなで食事をする「お斎《とき》」があります。一般的にはお斎は葬儀や法事でふるまわれる食事を指すことが多く、故人の供養のためと考えられているよう……
名古屋でおでんというと、一般的に味噌だれをかけた味噌おでんをいい、市民に広く親しまれています。一年中食べますが、とくに冬によくつくります。醤油味のだし汁で煮たおでんは「関東煮《かんとうに》」と呼び、味噌おでんと区別しています。 家庭によって食材が多少異なりますが、大根やにんじんなどの根菜類や里芋……