LD(lethal dose)=致死量。
LD50(median lethal dose, 50% lethal dose)=半数致死(薬)量(中央致死量)。供試動物群の50%を死に至らしめる薬量で,通常,動物の体重1kg当たりの薬量(mg)であらわす。
LC(lethal concentration)=致死濃度。ppmであらわすことが多い。
LC50(median lethal concentration, 50% lethal concentration)=半数致死濃度(中央致死濃度)。供試動物群の50%を死に至らしめる薬剤濃度。
EC(effective concentration)=影響濃度,効果濃度(遊泳阻害濃度,生長阻害濃度)。
EC50(median effective concentration, 50% effective concentration)=半数影響濃度,50%効果濃度(半数遊泳阻害濃度,半数生長阻害濃度)。供試生物群の50%に影響(遊泳阻害,生長阻害)する薬剤濃度。
ErC50=生長速度法による半数生長阻害濃度(EC50)。生長速度法とは,藻類(または他の水生植物)の生長速度(growth rate〔r〕)の変化から阻害率を算出する方法。
EbC50=面積法による半数生長阻害濃度(EC50)。面積法とは,藻類(または他の水生植物)の生長曲線下の面積(biomass〔b〕)から阻害率を算出する方法。
TLm(median tolerance limit)=供試動物群の50%が生存しうる薬物濃度。おもに魚類に対する毒性値に用いられる。
ppm(parts per million)=濃度の単位。1ppm=100万分の1濃度=1mg/1kg。
ppb(parts per billion)=濃度の単位。1ppmの1000分の1。1ppb=10億分の1。
ppt(parts per trillion)=濃度の単位。1ppbの1000分の1。1ppt=1兆分の1。
原体=農薬の有効成分の化学工業製品。農薬の主成分だけでなく,合成時の副生物,化学反応しなかった原料および分解物などの不純物も含む。
製剤=農薬の原体に,吸収しやすさや使いやすさなど,さまざまな目的に応じて,希釈剤(増量剤など)やアジュバント(界面活性剤,油,無機塩)などの補助剤を加えて,各種の性状や形態に仕上げたもの。
人畜毒性=一般に人や家畜を対象とした毒性のこと。一時的に多量に摂取した場合に現われる毒性を急性毒性,少量でも長期間にわたり継続して摂取した場合に現われる毒性を慢性毒性という。毒物,劇物の判定は表1のように急性毒性によって行なわれ,口から飲み込んだ場合の経口毒性,皮膚に付着した場合の経皮毒性,呼吸によって取り込んだ場合の吸入毒性がある。
魚毒性=水中の化学物質の魚介類(水産動物)に対する毒性のこと。農薬の水産動物に対する毒性の強さは,製剤および原体のコイとミジンコに対する半数致死濃度(LC50)などで示す。魚毒性は,表2に示した基準によって分類され,毒性の弱い順にA類,B類(B-sを含む),C類に区分されている。
分類 | 経口(LD50) | 経皮(LD50) | 吸入(LC50) |
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毒物 | 体重1kg当たり50mg以下 | 体重1kg当たり200mg以下 | ガス:500ppm(4時間)以下 蒸気:2.0mg/l(4時間)以下 ダスト,ミスト:0.5mg/l(4時間)以下 |
劇物 | 体重1kg当たり50mgを超え300mg以下 | 体重1kg当たり200mgを超え1,000mg以下 | ガス:500ppm(4時間)を超え2,500ppm(4時間)以下 蒸気:2.0mg/l(4時間)を超え10mg/l(4時間)以下 ダスト,ミスト:0.5mg/l(4時間)を超え1.0mg/l(4時間)以下 |
皮膚,粘膜に対しては,硫酸,水酸化ナトリウム,フェノールなどと同等以上の刺激性を有するもの |
注 普通物:毒物及び劇物取締法によって規定された特定毒物,毒物,劇物以外のもの。ただし,医薬品および医薬部外品は除く
特定毒物:毒物のうち,その毒性がきわめて強く,当該物質が広く一般に使用されるか,または使用されると考えられるものなどで,危害発生のおそれが著しいもの(薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会平成15年9月2日配付資料より)。都道府県知事の許可を受けた者(特定毒物研究者)でなければ製造してはならず,特定毒物研究者または政令で指定する者(特定毒物使用者)でなければ使用してはならない(毒物及び劇物取締法3条の2)
区分 | コイに対する48時間後の(LC50) | ミジンコに対する3時間後の(LC50) (または24時間後のEC50) |
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A類 | >10ppm | >0.5ppm |
[容器のラベルに書かれている注意事項の例] 通常の使用方法では魚介類に影響はない | ||
B類 | >0.5ppm~≦10ppm | ≦0.5ppm |
[容器のラベルに書かれている注意事項の例] ・通常の使用方法では影響は少ない……畑地一般散布剤,展着剤 ・本剤は魚介類に影響を及ぼすので,養魚田での使用は避ける……水田散布剤 | ||
B-s | B類相当のうち特に注意を要するもの | ≦0.5ppm |
C類 | ≦0.5ppm | ≦0.5ppm |
[容器のラベルに書かれている注意事項の例] ・本剤は魚介類に強い影響を及ぼすので,河川,湖沼,海域および養魚池などに本剤が飛散・流入するおそれのある場所では使用しない……畑地一般散布剤 ・散布器具,容器の洗浄水(および残りの薬液)は河川などに流さず,容器,空き袋などは,魚介類に影響を与えないように適切に処理する ・特に毒性の強いものについて「本剤はごく低濃度でも魚介類に影響を及ぼすので特に注意すること」を加えて記載されている |
注 指定農薬:C類のうち,農薬取締法12条の2により,水質汚濁性農薬に指定されているもの(ベンソピエン,デリス,CAT)。水質汚濁性農薬使用禁止地帯では使用しない。また使用制限のとられている地帯ではその使用条件に従って使用する