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ウドンコが消える、体力もアップ 焼酎は「栄養防除剤」

イネの穂首イモチも予防、野菜苗づくり名人ばあちゃんの知恵

1998年5月号 始頁:44 終頁:45
記事区分:あっちの話こっちの話
執筆者:鷹巣辰也
執筆者所属:農文協
取材対象者:望月きゃう
取材対象地域:静岡県大井川町

キーワード:
防除

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 大井川《おおいがわ》町の望月《もちづき》きゃうさん(七七歳)は、種苗屋さんに頼まれて、以前は毎年一万本もの野菜の苗をつくってきたばあちゃんです。最近はお孫さんの守で忙しいので量は減りましたが、今年もナスやピーマン、キュウリの苗を一〇〇〇本くらいはつくるつもりです。

 先日おじゃましたときに、ウドンコ病対策を教えてもらいました。野菜の苗にウドンコが出ると、きゃうさんは焼酎をかけるのだそうです。三五度の焼酎を一〇〇〇倍くらいに薄めて、ウドンコの白いカビがきれいに流れ落ちるくらいの量をかけます。きゃうさん自身は、背負い噴霧器のタンクに農薬のキャップで一杯か二杯分を溶かして散布します。いったんウドンコを洗い流せば、焼酎は栄養剤にもなるせいか、ふたたび出ることはありません。

 もとはといえば、二七年前に亡くなったご主人が、イネの花が収まってから傾穂期までに、焼酎一〇〇〇倍液を二回散布して穂首イモチを予防していたのを思い出して始めました。

 きゃうさんの話を聞いて、近所で試す人も増えています。「カボチャにやるよりオレが飲みたいなあ」といいながらやる人もいますが、葉っぱが真っ白になるほどのウドンコでも止まるとか。

 カボチャでもナスでもキュウリでもピーマンでも、なんでも効きます。イチゴはひどくなると実まで白くなりますが、実が着いてから農薬をかけるのは気持ち悪い。そんなときにも焼酎がピッタリです。

 それに、農薬を使うのに比べたら、経費だってずっと安くすみます。