「栄養防除剤」春先の低温、生育の遅れをこの夏、取り戻す

カメムシ防除には木酢液が有効!

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1996年8月号 始頁:282 終頁:283
記事区分:果樹
執筆者:大谷禎一
取材対象地域:福島県いわき市

かこみ記事: 

キーワード:
草生栽培/メリット青/水分コントロール/カメムシ/キクモク/木酢液

本文\

 カメムシは木酢液の焦げた臭いが大嫌いなのでしょう。我が家のモモ、ナシはこの木酢液のおかげで、ここのところカメムシの被害はとんとありません。今年も、三月頃には一部にいたみたいですが、今は全然見かけないし、木酢液を使う仲間のところもやはり同じようです。

 以下に私の木酢液によるカメムシ除けの方法を紹介します。

 1、まず越冬成虫の捕殺散布として三月下旬、園地周辺の杉、松などに木酢液の三〇〇倍液を一面に散布しておきます。SSで園の周囲をぐるっと回りながら、圧をあげ、散布液の届く範囲にかけていきます。量は大体二五〇~三〇〇lくらい。

 2、次に五月中旬頃からモモ、ナシの樹に、木酢液の原液をジュースやビールの空き缶(三五〇ml程度が適当)に八分目くらいに入れ、吊るします。こうして臭いを発散させておくと効果的です。

 図のように、缶に雨水が入らないよう上には傘をかけ、吊るす場所としてはどこでもいいですが、私は作業の邪魔にならないために、またひっくり返しても果実にかからないところを選んで下げます。園周囲の樹中心に、ナシの場合は三樹に一缶、モモは二樹に一缶の割です。

 期間は落葉するまで。最後は一つにまとめ、一五倍くらいに薄めて土壌施用に回します。葉面散布には用いません。アルミ缶の場合はいいのですが、スチール缶だとサビが出て、木酢液の色も変色しているからです。

 3、一方で、五月半ば過ぎから通常の防除薬に加用して五〇〇倍液も散布します。とくに七月下旬~八月上旬のカメムシの産卵期に、朝日の輝きのない間に葉面散布すると効果最高です。

 また、最後に付け加えれば、モモ、ナシの糖度が上がるのも木酢液です。七月中旬ころから八月上旬の散布で二~三度アップは確実です。ナシの幸水などこれで一三~一四度くらいまできました。なお、私が使用している木酢は地元、(株)キクモク製のものです。(福島県いわき市好間町上好間字田代六四―四六)