茨城玉川農協が韓国のすごい技術を見た、聞いた

ベトやウドンコに負けてない

キュウリ農家訪問

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1993年1月号 始頁:66 終頁:68
記事区分:巻頭特集
執筆者:編集部
執筆者所属:農文協
見出し:
●キュウリのわき芽で漢方栄養剤を

かこみ記事:あり

本文\

 「これはすごい!」

 思わず、みんなが声をあげたのはキュウリのハウスをのぞいたときだ。

 葉は大きく厚い。茎が太い。まっすぐな太いキュウリがたくさんぶら下がっている。樹の勢いがあって、すばらしいキュウリだ。

 このキュウリを見て、ハウスでキュウリを栽培している室町治男さん(三二歳)は、ちょっととまどいながら、「ベトもウドンコも入っているが、そんなことは関係ないように樹の勢いがある。葉は大きいが、すごく厚い。茎は、株元のほうは細いが、上のほうの芯は太い。栄養生長が強い。だけどキュウリの成りはすばらしい…」

 よく見ると、茎は太いが節間は短い。樹勢が強いだけでなく、よく成ることを示している。現に、太いキュウリがたくさん成っている。

 栄養生長が旺盛で、それでいて生殖生長も活発なのだ。なぜ、こんな芸当ができるのか?

 ハウスのわきに、豚舎から持ってきたらしいオガクズ堆肥が山と積まれていたが、その堆肥を土を覆うように置き、その上から天恵緑汁を散布してやるのだという。

 こうすることで、堆肥はさらに分解し、無機化した養分と堆肥の菌は土に浸透していき、徐々に土が変わっていく。土は、「まるでスポンジのようになる」という。根の張りがよくなる。

 こういう土に変わるとともに、それまで連作障害のため抑制(夏作)、促成(冬作)の年二作を続けて栽培することはできなかったそうだが、いまでは夏と冬の二作を、なんの障害もなしに行なっている。もちろん土壌消毒はなし。ポリマルチもしない。必要ないのである(堆肥がマルチのかわりをしており、草ははえない)。つくっているのは黒イボキュウリ。

 さらに、漢方栄養剤と玄米酢、それにミネラル水を混ぜたものを、一週間から一〇日に一回、葉面散布しているとのことだ。

 こうして夏作九t、冬作二〇t以上(二五tとれたこともあるという)と超多収を実現している。

●キュウリのわき芽で漢方栄養剤を

 室町さんがビックリしたのは、キュウリがベトやウドンコにかかっているにもかかわらず、勢いがあり、たくさん成っていることだ。土の状態がよく、根がしっかり張っているうえに、漢方栄養剤を葉面散布している効果が大きいのではないかと思った。

 この漢方栄養剤は、ニンニクやショウガなど、それ自身漢方的効果のあるものでつくられるわけだが、実はキュウリのわき芽でも漢方栄養剤をつくれる。わき芽には生長ホルモンがいっぱいあり、そのホルモンなどを黒砂糖で抽出して、それに焼酎を加えれば、すばらしい漢方栄養剤になるのだ。

 室町さんは、これまで捨てていたキュウリのわき芽で漢方栄養剤をつくり、次の促成栽培から葉面散布してみようと思っている。