本文\
普及所を退職して野菜農家の仲間入りをした水口文夫さん。今年は農薬の無差別爆撃をやめて、病気や害虫がついている株だけに農薬を散布することにしました(一株防除)。
一枚の畑に数百本もあるカボチャの株を一株一株見てまわり、病気や虫のいる株だけを噴霧機で防除しました。たいへんでしたがおかげでおもしろい発見をしました。
一株防除のため農薬が少なくてすんだおかげか、テントウムシがたくさん寄ってきたのです。よく見かけるナナホシテントウなどは「恐ろしいくらいに」アブラムシをよく食べてくれました。
そんな光景を見るにつけ、ますます農薬の全面散布法はいかがなものかと考えざるをえませんでした。
そんなことを考えながら水口さんが畑を見まわっていると、奇妙な行動をするテントウムシに気づきました。ナナホシテントウなどはアブラムシのついている葉でよく見かけるのですが、そのテントウムシはウドンコ病の出ている葉にいるのです。
不思議に思った水口さんは、このテントウムシの正体をつかもうと、お孫さんの図鑑を開いて思わず息を飲んだのです。そこには二種類のテントウムシの食べ物として“ウドンコ病菌”と書かれてあったからです。
キイロテントウとシラホシテントウの二種類で、水口さんの畑にはシラホシが多くいました。
これで謎は解けました。
先のテントウムシはアブラムシでなくウドンコ病菌を食べるためにきていたのでした。
これでますます農薬散布は注意深く、株を選んでかけないといけなくなりました。なにせ水口さんのカボチャ畑には、アブラムシを食べるテントウムシの他に、ウドンコ病菌を食べるテントウムシまですんでいるのですから。