きびなごを使う家庭料理は県内各地にありますが、ごく新鮮なものを1尾ずつ手開きにした刺身は一切くせがなく、歯切れのよい独特の食感です。足が早いため、刺身は産地ならではの食べ方で、菊の花のように盛りつけると大変豪華です。 きびなごは南日本を含むインド-西太平洋の沿岸域に生息するニシン科の小魚で、日本……
酢じめした魚をおからに巻いた形が、ほおかぶりした姿に見えることからこの名前がつきました。魚のうま味とぴりっとしたしょうがの味が甘酸っぱいおからとよく合い、次々食べられます。 海沿いではいつでも新鮮で安い魚が手に入るので、おからと魚を組み合わせたおからずしは、おきゃく(宴会)のときにも、日常のおか……
奄美の代表的な家庭料理で、派手ではありませんが、いつも身近にある母の味といえるような料理です。本土のだし汁で食べるそうめん料理とも、沖縄の油で炒めるソーミンタシヤーとも異なり、奄美では油とだし汁を使います。本土のだし文化と沖縄の油炒め文化との中間に位置する奄美の食文化をよく表しています。 材料は……
長崎市は、江戸時代、外国への玄関口として発展してきた港湾都市です。材料を油で揚げる調理法が400年前にポルトガルから伝来し、天ぷらと称されるようになりました。長崎天ぷらは、江戸風、上方風の天ぷらとは違っているため、他国の人がそう名づけたという文献もあり、固有名詞となっています。卓袱《しっぽく》料……
ほうり漬けは、乳酸発酵した大根の漬物と味噌、だしじゃこと少量の水を加熱しながら食べる鍋料理です。県内でも四万十川流域の山あいにある中津川集落だけに伝わるものです。名前の由来は、漬けておいて(放《ほう》って)おけばできあがるからではないかといわれますが、定かではありません。 大根は大きめの薄切りに……